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第一章 デジタル化のメリット
第一章 デジタル化のメリット

 まず、ここでデジタル化と呼んでいるのは、紙写真をスキャナー(紙をコピー機のように読み取り、電子化する機械)でスキャンし、デジカメと同じ形式であるJPEGと呼ばれる形式のファイルにすることを意味します。
 
 では、紙写真をこのようなJPEGという形式にすることによりどのようなメリットがあるのでしょうか。

 代表的なものを挙げると以下のような問題を解決することにつながります。

@写真アルバムが場所をとっている
 デジタルカメラが日常化する前の紙の写真が、家の中の本棚や押し入れなどのかなりの場所を占領していませんか?
 特にアルバムなどに整理している場合は、かなりのスペースを占めています。
自分の子供の頃の写真や子供の成長に合わせて最近まで撮りためた紙写真。両親の昔の写真などなど。

A子供、兄弟、親戚に分けてあげられない
 兄弟、息子、娘など家族の一員が独立したり、特に結婚などで家を離れて行く場合に、いっしょに写っている家族の記念写真を全部は分けあえない。

Bデジカメ写真と紙写真が別々になっていて見づらい
 デジカメが普及しても、友人と行った旅行や祝賀会などは、紙焼き写真でいただきます。デジカメで撮 った写真と友人からいただいた紙写真などが別々になっていて、同じシーンであっても別々になってしま っている。

C紙写真が年々色あせていく
 紙ですから仕方ないのですが、ゆっくりと確実に色あせていきます。いつかは風化する運命にあります。特に昭和初期の写真は風化時期に来ています。

 ちょうど今、私たちはデジカメとフィルム写真の転換期の時代に生きているわけですから、みなさん思いあたることがあるのではないでしょうか。

 では、デジタル化って簡単にできるのでしょうか?

 実は、一般のお店に頼もうとしても、気軽に頼めるもでのはないようです。

以下のようなことが挙げられます(以下2007年度調査)

@はがきサイズまで一枚100円以上
 アルバム一枚300枚程度入りますから、もし、10冊あったとしたら、30万円という金額になってしまいます。あなたがお金持ちなら構いませんが、一般的には気軽に頼める料金ではありませんね。

Aはがきサイズ以上は200円以上
 アルバムの中に想い出のパンフレットやチケット、大型の記念写真などはありませんか?それがあると 先ほどの金額もさらに上がります。

B写真アルバムへ挟み込んだコメント用紙は不可
 写真に想い出を残すコメントのポストイットや紙、あるいは吹き出しをアルバムの中の写真には挟み込んでいませんか?こういうものは対象外です。
*吹き出しとは、漫画などでみたれるように、写真の人物がしゃべっているように、写真をはみ出して貼 り付けてあるメモやシールをここでは意味しています。


 ここまでお話したように、お店に頼むと料金面でも、柔軟性の面でも、今一つ満足できないのではないでしょうか。

 そこで、自分でやってみようという訳です。それも、安く、あまり手間をかけずにです。

 では、次にどのようにやっていくかその方法とコツを具体的にお話しましょう。

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第二章 紙写真デジタル化の準備
第二章 紙写真デジタル化の準備

1.スキャナーの確保

 もし、普通のスキャナー(フラットベットスキャナー)で一枚一枚、置いてスキャンしようとお考えなら、とてつもない時間がかかることを覚悟してください。
 家庭用のフラットベッドスキャナーの場合は、一枚スキャンするのに、こういったスキャナーは、機種にも、スキャンする精度にもよりますが、一枚30秒〜3分もかかります。 業務用コピー機のようにさっさと読み込んでくれれば良いのに、家庭用では、ゆっくり〜っと読み込みます。これじゃとても普通の忍耐と時間では終わりません。

 じゃあ、もし、こういったフラットベット型ですぐに読み込んでくれる機種があるとしましょう。それでも、一枚一枚スキャナーに写真を置いていくのは、とてつもなく、時間と手間がかかります。

 そこで登場するのが、自動ローディング型の高速スキャナです。日本では富士通のScanSnap(スキャンスナップ 4〜5万円実売価格)しか存在しません。

 まずは、これを購入するしかありません。しかし、これが最初で最後の出費でもあります。


2.写真の整理

 まずは、写真を時間軸に並べて、なんらかの基準をつくってまとめることです。

@まとめる単位は?

 後々のことを考えると「年月日 イベント名」 (例:1989年03月15日 悪友三人と卒業旅行)(月日までわからない場合は1989年03月99日or1989年99月99日) という単位でまとめるのが、これまでの経験では良いと思います。
 年月日でフォルダを作成しておけば、フォルダ名でソートするだけで年代順に見ることができるからです。

A想い出のコメントや記念チケット、パンフはどうするの?

 このとき、想い出のコメントや記念チケット、パンフがあれば、読み込みたい場所に挟み込んでおきます。

B写真に貼ったコメントはどうするの?

 そのまま、写真からはみ出していなければ、貼ったままスキャンできることも多いので、スキャナーで読み込まれるときに、剥がれそうなら、両面テープ、糊、セロテープ、メンディングテープなどで補強します。
 *ScanSnapの場合は、細いポストイットで片方しか貼られていないものでも、貼られている方
を頭にして読み込ませれば問題がない場合も多いので、まずは、読み込ませてみて、剥がれるならその時に補強してもいいでしょう。
*セロテープやメンディングテープは、写真にすこし写り込みます。気にしなければそれでもOK。気になるなら、両面テープか糊がベター。

C写真からはみ出している吹き出しはどうするの?

 あたかも、しゃべっているように吹き出しを入れている場合がありますね。その場合はそのままは読めないので、手軽な順番に言うと

パターン1:写真の見栄えが悪くならない写真枠内に張り直す

パターン2:別紙(写真サイズと同じ大きさの紙)にそのコメントを貼る。もしくは、対象の写真の裏にそのコメントを貼り付ける。そして、これらを一枚の写真として読み込ませるというものです。対象となる写真の後ろか前にこのコメントが来るようにしておけば良いでしょう。
 写真の裏に貼った場合は、現像メーカーの薄いロゴ印刷はあったりしますが、気にしなければそれでもいいでしょう。後々、その写真と吹き出しの写真をご自分で画像編集ソフトで合成することもできるわけですから。

パターン3:吹き出しの付いた写真そのまま、吹き出しを含めた全体が入るより大きな別の紙に貼り付ける。こうしておくと、吹き出しがそのまま生かされた写真になります。

Dどのように束ねておくの?

 台所で使うようなビニール袋や封筒に入れ読み込ませたい順番がバラバラにならないようにしておきます。この袋はゴミやホコリが写真に付かないようにするためにも有効です。分ける時にメモかポストイットに、上で上げたように「年月日 イベント名+コメントなど」を記入し、その袋にセロテープで貼り付けておくとよいでしょう。

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第三章 写真のスキャンの流れ
第三章 写真スキャンの流れ

 基本的には並んでいる順番に写真を読み込ませます。

 ただこのとき、サイズが写真によってかなりバラバラになっています。ScanSnapにも「原稿サイズ」>「サイズ自動選択」というモードがありますが、残念ながら、これでは、端が切れていたりしてうまく使えません。

 そこで、写真毎のサイズを物差しで測り、それを、「カスタムサイズの登録欄」に登録します。このとき、縦横登録できますが、長辺(長い方のサイズ)のサイズを登録し、縦は「自動」という登録で概ねうまくいきます。 *ScanSnapの不便なところはそのカスタムサイズ登録欄が10しかないことです。実際を整理するとわかりますが、何十種類と微妙に異なるサイズがありますので、そのたびに登録しなおします。
 写真を物差しでそのたびに測るのは、面倒なので、A4サイズ以上のボードに2つの定規を縦横直角になるようにして、写真をそこに載せれば、サイズがすぐにわかるものを作っておくと素早く測定できます。

 そのように、写真サイズが変わる毎に、登録した写真サイズを選択、または、なければ追加登録しながら、読み込ませていきます。スペック上は30枚くらい一気に読めるはずですが、多くの場合、次第に写真が傾いて読み込まれますので、少なくやるのがよいでしょう。

 その時のポイントは、ScanSnapの設定で、「アプリ選択」>「ScanSnapOrganizer」を選択しておくと、読み込まれる度に、画像が表示され、ちゃんと読まれたかチェックできます。また、連番の設定にしておけば、問題がある写真を消して、その問題のあった写真を再度読み込ませれば、あいている番号が振られますので、並べた順番が狂わないので助かります。

 こういった読み込み時におこる問題があった時のために、この読み込みの前に、まとめた写真の裏に鉛筆で薄く、番号を記入しておけば、問題のある読み込みの写真の番号と裏に書いた番号が一致するので、素早く再スキャンする写真が見つかります。

そして、まとめた束が全部スキャンできたら、新しいフォルダを作成して移しておきます。

*このときフォルダ名は先ほど写真に添えてある紙「年月日 イベント名」 (例:1989年03月15日 悪友三人と卒業旅行)(月日までわからない場合は1989年03月99日or1989年99月99日)と同じ名前をつけておきます。ソートのことも考えて年月日の数字は半角にしておくとよいでしょう。 

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第四章 スキャン時に問題のある読み込み写真の原因と対処
第四章 スキャン時に問題のある読み込み写真の原因と対処


 これまでは、基本的な流れを書いてきましたが、実は、そう簡単にはいきません。

スキャンした画像に問題がある場合が、写真によって発生します。そのための対処を書いておきましょう。

@筋が入っている(再スキャン必須)

原因:写真にホコリやゴミがついている。スキャナーにゴミやホコリがついている。特にシールタイプのアルバムに貼ってあった写真の場合は、写真を重ねた時に、糊のカスがスキャナーに付着したり、次の写真に付着したり、スキャナーのローラーやスキャナーの読み取りガラスに付着し、筋の入った写真になります。ある時筋は、なんらかの写真にくっついて消えてしまうこともありますので、ここまでは綺麗だから大丈夫というわけにはいかず、すべての写真をきちんとチェックしながらスキャンしていくことが必要です。

対処:写真の糊カスを取る(粘着ローラーなどがあるとよりよい場合があります)。スキャナーをクリーニングする。

A写真の一部が切れている(再スキャン必須)

原因:「サイズ指定」のミス、「長辺サイズ指定+短辺自動」では読めないケース、読み込み時に傾いて読み込まれたケースなど。

対処:正確に縦横サイズを入れる。あるいは、写真より大きめのサイズしてをして再スキャン、あとで余分な部分を画像編集ソフトで切り取る。

B傾いている(画像ソフトであとで修正可)

原因:読み込み時に傾いている場合に起こりますが、その原因は、束ね過ぎ、滑るタイプの写真である場合に発生します。

対処:再スキャンする。何度スキャンしても滑って傾く写真もあります。その場合は、原稿サイズを一回り大きく設定しておいて、あとで、画像の傾きをソフトウェアで修正します。実際にはすべての写真は微妙に傾きますので、気になる人はすべての写真を画像編集ソフトで傾き補正することになります。その修正よりも、読み込ませることの手間が大きいので、まずは、写真の全体が入っていて、筋が入っていなければ、補正は時間があるときにゆっくりやってもいいでしょう。

C写真よりも余白が大きい(画像ソフトであとで修正可)

原因:サイズ指定のミス。読み込みでズレる。

対処:サイズ指定を直して、再スキャンすることもできるが、画像ソフトであとで切り取った方が効率的。

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第五章 デジタルする上でのコツと便利なツール
第五章 デジタル化する上でのコツと便利なツール


@スキャンを効率化する裏技

★常に、読み込む写真より一回り(3ミリ以上)大きなサイズを指定して読み込み、多少傾いていても、 あとで画像ソフトで修正する。修正するのが面倒な場合は、もともと斜めに貼ってあるアルバムだと思えば、気にならない人もいるハズです。

★逆に、読み込む写真より少し(2ミリ位)小さなサイズで読み込み、多少の傾きで切れてしまった部分はあきらめる。これは他人から預かった写真ではできませんが、ご自分の写真ではこういう選択もあります。だって、撮影するときに、ベストのアングルで撮影できていない場合がほとんどだからです。これだと、あとで画像編集ソフトを修正しなくてもすみます。これでも傾きすぎて切れている場合は再度スキャンすることになります。

A読み込み画素数と圧縮レベル

 ScanSnapでは、ノーマル、ファイン、スパーファイン、エクセレントとあり、スパーファインは300DPI、エクセレントは600DPIあります。
普通のパソコンで見る場合には、スパーファインで十分ですが、集合記念写真など、小さな顔をズームしていくと、差が見えてきます。
 600DPIで読み込むと、スキャンのスピードはとたんに遅くなります。まあ、手でやるわけではないので、そのスピードは結局はあまり気にならなくなります。また、小さな画面で見ると、大きな写真を小さな画面で表示しようとするため、かえって300DPIよりぼやけて見えたりします。
 私のお薦めは、それでも600DPIでスキャンすることです。
その理由は、今後、写真も大型テレビ画面で見る機会が増えるためです。そして、高精度でスキャンしておけば、小さくするのはいつでもできますが、その逆はできないからです。

 設定のお勧めは、600DPIで、圧縮のレベルを中にしておくことです。サイズは写真により異なりますが、普通のサイズの写真ですと大体、300KB〜400KBくらいに収まります。圧縮がいやな方は、圧縮をなしにしてもよいでしょう。この圧縮は読み取り速度には影響しません。

B傾き修正に便利なお勧めソフト

 傾きの修正のし易さ、切り取りの容易さを重視すれば、Googleで無料で提供している「Picasa2」でしょう。

 ここでは詳しい使い方は説明しませんが、Picasa2では、傾きは画像を見ながらマウスで修正できますし、続けて切り取りもできます。色補正をしたい場合もそのまま、無駄な手順無くできます。

 それと、写真の順番を並び替えてる時にもサムネイル(小さくなっている写真)マウスでドラッグして並び替えられます。また、その並べた順番にファイル名を連番でふり直すことが一発でできます。

 そして、先ほど振ったフォルダの名前をフォルダの階層を超えて年代順に表示してみることができます。実際の写真が入っている親フォルダ名は、「パパの子供の頃の写真」、「ママの両親の写真」、「孫の幼稚園時代」とかでまとめていても、最終的に一番末端のフォルダ名で一覧表示し、そのフォルダ名でソートしてくれる機能があるのです。

★Picasaを使うときの注意点は?

 写真の名前をふり直す時の手順ですが、該当のフォルダを選択し、「画像」>「一括編集」>「名前の変更」で、名前の入力欄が表示されます。このときファイル名はなんでもよいのですが(例 PICa-1)というように、かならず、「-1」というのをつけてください。Picasaでは自動的に、振られた番号から順番に「-」のあとに連番を振っていきます。
 そうしないと、最初のファイルは「PICa」と「-」なしになり、名前でソートすると、最後に回ってしまいます。
 また、ファイル名をつけ直すときは、かならず、そのフォルダに無い名前を付けてください。そうしないと、Picasaは自動的に、同じ番号のものはさけて、番号を付けてしまい、並びがバラバラになって取り返しがつきません。ですから、ファイル名を付け直す時は、PICa-1ではなく、PICb-1などと、aをbなどに変え、そのフォルダには決して存在しない名前になるようにします。


 さて、これでご自分でもやれることが、お分かりいただけたと思います。
もし、ご不明な点などがあれば、お答えしたいと思います。

 



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by itobluelab



第一章 デジタル化のメリット・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

第二章 紙写真デジタル化の準備・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

第三章 写真スキャンの流れ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

第四章 スキャン時に問題のある読み込み写真の原因と対処・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

第五章 デジタルする上でのコツと便利なツール・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


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